きみはポラリス
三浦しをん 新潮社(2007)
「俺だって本当はわかってる。すぐにだれかを好きになるのは、だれのことも好きじゃないってことだ。時々、こわくなるよ。俺、ずっと一人のままなのかなあって」
(永遠に完成しない二通の手紙 18p)
私はそのときつきあっている相手を、友人に会わせるのを好まない。
グランドキャニオンに流れ星を見せたところで、なんの意味があるだろうか。両者は私のなかで決してまじわることのない存在だし、それにもし万が一、私の眼前で流れ星が気を変えてグランドキャニオンに落下することを選んだりしたら、大惨事になる。
私は、流れ星を一人で眺めているのが好きだ。通りすぎて消えていくまで。
(夜にあふれるもの 104p)